G10(データ設定)

G10 は、ワーク座標系であるG54 〜 G59 の補正量や、工具補正量(工具長補正量、工具径補正量)を、プログラム上で変更するデータ設定機能です。G10 でできるデータの設定は、ワーク座標系や工具補正以外にもある場合もありますが、オプションであることが多いのでここでは省きます。

これらは、システム変数によっても変更はできますが、機種による違いなどでシステム変数が異なっていたりして別の設定を変更する危険性があるため、G10 を使うことでより安全に設定の変更ができます。

※G11 にデータ設定モードキャンセルという機能がありますが、G10 はワンショットなGコードなので、G11 でキャンセルする必要はないと思われます。ただ、G11 が何に使われるのかを調べてはみましたがわかりませんでした。

※G11はプログラマブルパラメータ入力モードキャンセルで使用するようです。


G10(データ設定)の使い方|ワーク座標系の変更

「G90(G91) G10 L2 P_ X_ Y_ Z_ ;」の形で記述します。

G90 のアブソリュート指令の場合は、指令された X_ Y_ Z_ の座標値が新たな加工原点になります。G91 のインクレメンタル指令の場合は、指令された X_ Y_ Z_ の座標値が今までの加工原点に加算されたものが新たな加工原点になります。G90とG91はモーダルなGコードなので、このブロックでは省略可能です。

L2 はワーク座標系の補正量の入力を表し、省略はできません。この値を変えると別の補正量を入力できます。

P は、G54 〜 G59 のどのワーク座標系を変更するのかを指令します。P1 は G54 に対応しており、P2 は G55、・・・P6 は G59 となります。また、P0 にすると G54 〜 G59 すべて共通のシフト量になります。

例えば、G55 のワーク座標系に X-100.0 Y-200.0 と設定したい場合は「G90 G10 L2 P2 X-100.0 Y-200.0 ;」となります。

ワーク座標系変更の注意点

G10 では、G54 〜 G59 の座標値そのものが書き換えられるため、プログラムの終了やリセットによっても座標値はもとに戻りません。ワーク座標系はそのままで、他に座標系を作成したい場合は、G52 ローカル座標系を使用します。

アドレス P を省略したり、0 〜 6 以外の値を入れると、現在使用中のワーク座標系が変更されます。ただし、オプションの追加ワーク座標系が追加されている設備で 0 〜 6 の値を入れるとアラームが出ます。

G10(データ設定)の使い方|工具補正量の変更

「G90(G91) G10 L_ P_ R_ ;」の形で記述します。

L は、工具補正量の選択で、L10 は工具長補正量の変更、L11 は工具長摩耗補正量の変更、L12 は工具径補正量の変更、L13 は工具径摩耗補正量の変更になります。

P は、工具補正番号です。

R は、工具補正量となります。上述したワーク座標系の変更と同様に、G90 のアブソリュート指令では、工具補正量 R の値がそのまま入力され、G91 のインクレメンタル指令では、工具補正量 R の値が今までの工具補正量に加算されたものが新たな工具補正量になります。

例えば、工具補正番号2番の工具径補正量を5.0に設定したい場合は「G90 G10 L12 P2 R5.0 ;」となります。

工具補正量変更の注意点

上述したワーク座標系の変更と同様に、G10 では、工具補正量そのものが書き換えられるため、プログラムの終了やリセットによってもとに戻りません。

Gコードの詳細一覧
コード機能グループ
G00位置決め(早送り)01
G01直線補間
G02, G03円弧補間、ヘリカル補間
G04ドウェル00
G08高精度制御(先行制御)
G09イグザクトストップ
G10データ設定
G17, G18, G19平面指定02
G27原点復帰チェック00
G28機械原点復帰
G30第2原点復帰
G31スキップ機能
G40, G41, G42工具径補正07
G43, G44, G49工具長補正08
G52ローカル座標系設定00
G53機械座標系設定
G54 〜 G59ワーク座標系選択12
G60一方向位置決め00
G61イグザクトストップモード13
G62自動コーナオーバライド
G63タッピングモード
G64切削モード
G65, G66, G67マクロ呼び出しG65 = 00
G66, G67 = 14
G68, G69座標回転16
G90, G91アブソリュート指令、インクレメンタル指令03

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