固定サイクル
一般的に使用される加工の一連の動きを1サイクルとして、Gコードとして簡素化した機能を固定サイクルと呼びます。固定サイクルには単一形固定サイクルと複合形固定サイクルがあります。
単一形固定サイクルは、外径、内径加工(G90)やねじ切り加工(G92)、端面加工(G94)などの単純な加工をGコード化したものです。
※ここではFANUCでのGコードを使用しています。Gコードは制御装置によって異なるものもありますので、注意して下さい。
外径・内径切削サイクル | G90
外径・内径切削サイクルは、“G90 X_ Z_ R_ F_”の形で記述されます。
- X、Z…加工終点の座標
- R…テーパの傾き
- F…送り速度
加工開始点は、X軸は加工終点から計算されます(R0の場合は加工終点と同じ)が、Z軸は現在の工具位置となります。テーパの傾きRは加工終点から見た座標値で、インクレメンタル指令となります。
外径・内径切削サイクルでは1サイクル目のみ、“G90 X_ Z_ R_ F_” を記述し、2サイクル目以降はX軸の座標値のみを記述します。
外径テーパ切削 プログラム例 G00 X110.0 Z5.0 G90 X102.0 Z-50.0 R-5.0 F0.3 X101.0 X100.0 G00 Z50.0 内径切削 プログラム例 G00 X40.0 Z5.0 G90 X48.0 Z-50.0 R0 F0.3 X49.0 X50.0 G00 Z50.0
ねじ切りサイクル | G92
ねじ切りサイクルは、“G92 X_ Z_ R_ F_”の形で記述されます。
- X、Z…加工終点の座標
- R…テーパの傾き
- F…送り速度(リード)
外径・内径切削サイクル同様、加工開始点は、X軸は加工終点から計算されます(R0の場合は加工終点と同じ)が、Z軸は現在の工具位置となります。テーパの傾きRは加工終点から見た座標値で、インクレメンタル指令となります。また、送り速度Fはリードとなり、通常の一条ネジの場合はリードとピッチが一致するので、F=ピッチとなります。
外径・内径切削サイクル同様、1サイクル目のみ、“G92 X_ Z_ R_ F_” を記述し、2サイクル目以降はX軸の座標値のみを記述します。
端面切削サイクル | G94
端面切削サイクルは、“G94 X_ Z_ R_ F_”の形で記述されます。
- X、Z…加工終点の座標
- R…テーパの傾き
- F…送り速度
端面切削サイクルでは、Z軸方向に切り込んでいきます。テーパの傾きRは加工終点から見た座標値で、インクレメンタル指令となります。
端面切削サイクルでは、1サイクル目のみ、“G94 X_ Z_ R_ F_” を記述し、2サイクル目以降はZ軸の座標値のみを記述します。
複合形固定サイクル
複合形固定サイクルでは、仕上げ形状の座標を与えることで、荒加工時の工具軌道を自動で決めてくれるので、プログラムを簡素化することができます。複合形固定サイクルは制御装置によってGコードが異なるほか、使用方法も異なりますので、使い方は取扱説明書を参照して下さい。
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