NCプログラムの改善とは何か
生産性の改善には、工具を変えたり加工方法を変えたりして加工時間を短くする改善や、段取りを簡素化したり治工具の整理整頓を行うことで、内段取りを短くする改善などが考えられます。
では、NCプログラムの改善とは何でしょうか?
ここでは私なりにNCプログラムの改善についてまとめてみました。
空切りの時間を減らす
これは、無駄な動きを少なくして直接加工時間を短くできる改善です。
金属加工を行っていると、どうしてもダウンカットだけで、あるいはアップカットだけで加工したい場面がたくさんあります。ワンパスの開始位置と終了位置が同じ場合はさほど気にはなりませんが、開始と終了の位置が違う場合は開始位置へ戻る空切りが発生してしまいます。
空切り時間を短くするには「移動量を減らす」「移動速度を上げる」「空切り自体をなくす」という3つが考えられます。最初に考えるべきなのは「この空切りは必要なものなのか」ということです。「よく考えてみたら意味のない移動だった」ということも意外と多いのです。
空切りの改善はそのプログラムを使ったすべての加工で適用されるため、繰り返しの多い加工や、量産品の加工で大きな効果が出ます。
プログラムの量を減らす
古い設備を使っていると気になるのがプログラムのデータ量です。古い設備はデータの保存容量が少ない場合が多いので「製品が変わる毎にプログラムも入れ替えなければならない」ということが発生します。ひどいときは「ひとつのプログラムだけで容量オーバー」なんてこともあります。
プログラム量を減らすのに一番簡単なものは「余計なコメントを削除する」「中身の無いブロック、改行(EOB)だけのブロックを削除する」ことです。
また、大きな削減につながるものは「繰り返しを使う」「サブプログラム、またはマクロにする」ことです。サブプログラムやマクロにすると使い回せるというメリットもあるので、プログラムの作成時間も短縮できます。
プログラムを見やすくする
見やすいかどうかは人によって異なる部分もありますが、人は「見慣れているものを見やすいと感じる」傾向があります。どこにどの情報があるかがわかっていれば、探す手間も省けます。
どこに何を記述するのかを決めておくようにすると、自然と見やすいプログラムになると思います。
- 最低限必要なコード
- ミスを減らすためにすること
- マクロプログラムを作るときの考え方
- 繰り返しと条件分岐の使い分け
- NCプログラムとは。そのメリットとデメリット
- NC設備も良いけど、何気に活躍する手動工作機械
- 標準で使える変数
- NCプログラムの改善とは何か
- NCプログラムと生産システム
- 分業のジレンマ
- 座標とはなにか【初めてのNCプログラミング】
- 機械座標とワーク座標【初めてのNCプログラミング】
- 平面指定(G17〜19)を変更すると何が変わるのか【初めてのNCプログラミング】
- NCプログラムの基本は軸移動【初めてのNCプログラミング】
- アブソリュート指令(G90)とインクレメンタル指令(G91)
- 工具長補正は連続加工に必須の機能
- ATC(オート・ツール・チェンジャー)の使い方
- 主軸回転数と切削条件の求め方
- ワークのセッティングと測定機器
- タッチセンサを使った自動測定
- 当サイトのPDF版を作成しました。教育資料やリファレンスとして使用して頂ければと思います。
→ NCプログラムの教科書 - 上級編も作成しました。
→ NCプログラム上級編