タッチセンサを使った自動測定
加工の自動化は進んでいっても、測定の自動化はなかなか進まないものです。マシニングセンタなどでの機内測定は、環境さえ整えば意外と簡単にできてしまうので、挑戦してみる価値はあると思います。
マシニングセンタなど機内での自動計測器は大きく分けると2種類あり、ワークを測定するものと工具長を測定するものがあります。
ワークの自動測定
ワークを測定するものは、主軸に取り付けて、スタイラス(プローブ)と呼ばれる先端が球状になっている部分をワークに接触させると赤外線などの信号を発するので、それを工作機械設備に取り付けてある受信機が受け取る仕組みです。
ワークの測定機器にはいくつかの種類がありますが、この光学伝達方式と呼ばれる方式は、既存の設備にあとから取り付けることができるので便利です。他の方式のものでもあとから取り付けることができる場合もありますが、難しいこともあります。
工具長の自動測定
工具長の自動測定は、ツールセッターと呼ばれる工作機械のテーブルの上に設置して使用するものが一般的です。こちらは光学方式などの無線ではなく有線で設備と接続されているものが多い印象です。
自動測定のプログラミング
自動測定プログラムは、測定機器の購入時に予め用意されている場合もありますが、自分で作らなければならない場合もあります。単純な形状でない限り作らなければいけないことの方が多いかもしれません。
ワークの測定と工具長の測定どちらも G31 のスキップ機能を使用します。使い方は G01 の直線補間とほぼ同じで「G31 X_ Y_ Z_ F_ ;」の形で記述し、実際の動きも直線で動きます。G01 との大きな違いは、ワークに接触すると終点座標に到達していなくても移動を中止して、プログラムの次のブロックを読み込むことです。
G31 の次のブロックでシステム変数を使って現在の座標を読み取り、その座標を使って計算して寸法を出します。
繰り返しになりますが、G31 はワークに接触すると終点座標に到達していなくても移動を中止するので、次のブロックをインクレメンタル(G91)で指令すると、想定外の場所まで移動する可能性があります。できるのであれば、アブソリュート指令(G90)を使用するほうが安全です。
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