座標とはなにか【初めてのNCプログラミング】

NCプログラムを作る時にまず重要になるのが「座標」という概念です。

学校の数学あるいは算数の授業で、「すべての実数はひとつの直線上の点で表せる」というのを習ったと思います。これは数直線と呼ばれますが、軸がひとつの座標系として捉えることもできます。例えば「0」と「100」という数値を表す点が決まれば、「50」という数値は0と100のちょうど真ん中に位置しますし、「20」は0から100を5等分したうちの1つ目の点ということになります。このように、座標というのは数値と直線上の点が1対1で対応しているわけです。

これは軸を2つにした場合でも同じで、例えば、X軸とY軸の2軸で表される平面の座標があります。これは「X10 , Y35」のように1軸ずつそれぞれ数値で表し、2つの数値の組み合わせでひとつの点を表すことができます。同じ点を表す数値の組み合わせが2つ以上あることはないので、同じ数値の組み合わせであれば必ず同じ点を表します。軸がひとつの場合と同じように、「ひとつの点」と「ひとつの数値の組み合わせ」が対応しているわけです。


工作機械の座標

NC工作機械では、基本的にX軸、Y軸、Z軸の3軸の座標系が用いられます。これは軸が3つあれば、3次元空間におけるすべての座標を表すことができるからです。これに回転軸を加えた設備もありますが、基本は3つの軸が直角に交わる直交座標系で、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれ3つの数値で位置が決定されます。

各軸の方向は設備の種類によっても異なりますが、フライス盤や立型マシニングセンタでは、X軸は横(左右)方向で右が+、Y軸は前後方向で奥が+、Z軸は上下方向で上が+、となっている場合が多いです。

NCプログラムでは「どの位置に工具を動かすのか」ということを、この座標を使った数値によって指令します。

工作機械は種類によって大きさが異なりますが、座標に用いられる単位はミリメートル(mm)になっているものが多いです。なので、同じプログラムを別の工作機械で使用しても、加工された製品の大きさが変わるということはありません。

NC工作機械を操作したりプログラムを作る場合には、この座標という概念に慣れる必要がありますが、ほとんどの人が義務教育の中で学んでいることなので、比較的短い時間で慣れることができると思います。

コラム一覧
  1. 最低限必要なコード
  2. ミスを減らすためにすること
  3. マクロプログラムを作るときの考え方
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  5. NCプログラムとは。そのメリットとデメリット
  6. NC設備も良いけど、何気に活躍する手動工作機械
  7. 標準で使える変数
  8. NCプログラムの改善とは何か
  9. NCプログラムと生産システム
  10. 分業のジレンマ
  11. 座標とはなにか【初めてのNCプログラミング】
  12. 機械座標とワーク座標【初めてのNCプログラミング】
  13. 平面指定(G17〜19)を変更すると何が変わるのか【初めてのNCプログラミング】
  14. NCプログラムの基本は軸移動【初めてのNCプログラミング】
  15. アブソリュート指令(G90)とインクレメンタル指令(G91)
  16. 工具長補正は連続加工に必須の機能
  17. ATC(オート・ツール・チェンジャー)の使い方
  18. 主軸回転数と切削条件の求め方
  19. ワークのセッティングと測定機器
  20. タッチセンサを使った自動測定

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