G43, G44, G49(工具長補正)
G43, G44 は、工具の先端が基準点になるように、Z軸の補正を行います。G43 は、工具オフセットに入力されている補正量をそのまま使用する(+なら+として、ーならーとして)のに対して、G44 は、符号を逆にして使用します。
Z軸の補正は、ワーク座標系(G54 〜 G59)に入力しても同じ機能を実現できますが、G43, G44 の工具長補正を使うメリットは、複数の工具を使う連続加工で、ワーク座標系を変更しなくても、工具長補正番号を切り換えるだけでZ軸の補正ができることです。
G49 は、工具長補正をキャンセルするのに使います。
G43, G44, G49(工具長補正)の使い方
「G00(G01) G43(G44) Z_ H_ ;」の形で記述します。
Z はZ軸の位置決めする座標値で、H は工具補正番号になります。補正値はプログラム開始前に手入力しておくか、プログラム内で事前に「G10(データ設定)」やシステム変数を使用して入力しておく必要があります。
G49 は「G49 ;」と単独で指令します。
(同一のワーク座標で2本以上の工具を使用する場合) T1 ; M6 ; (工具番号1に工具交換) G90 G00 G54 X0 Y0 ; G43 Z50.0 H1 ; (工具長補正1を使用) ・ ・ ・ G49 ; T2 ; M6 ; (工具番号2に工具交換) G90 G00 G54 X0 Y0 ; G43 Z50.0 H2 ; (工具長補正2を使用) ・ ・
G43, G44, G49(工具長補正)の注意点
G43, G44 と同一ブロックにG02, G03 円弧補間を指令するとアラームが出ます。
M02, M30 などのプログラム終了のMコードを実行すると、工具長補正はキャンセルされます。
G28, G30 による原点復帰、あるいは手動での原点復帰を実行しても、工具長補正はキャンセルされます。
Gコードの詳細一覧
コード | 機能 | グループ |
---|---|---|
G00 | 位置決め(早送り) | 01 |
G01 | 直線補間 | |
G02, G03 | 円弧補間、ヘリカル補間 | |
G04 | ドウェル | 00 |
G08 | 高精度制御(先行制御) | |
G09 | イグザクトストップ | |
G10 | データ設定 | |
G17, G18, G19 | 平面指定 | 02 |
G27 | 原点復帰チェック | 00 |
G28 | 機械原点復帰 | |
G30 | 第2原点復帰 | |
G31 | スキップ機能 | |
G40, G41, G42 | 工具径補正 | 07 |
G43, G44, G49 | 工具長補正 | 08 |
G52 | ローカル座標系設定 | 00 |
G53 | 機械座標系設定 | |
G54 〜 G59 | ワーク座標系選択 | 12 |
G60 | 一方向位置決め | 00 |
G61 | イグザクトストップモード | 13 |
G62 | 自動コーナオーバライド | |
G63 | タッピングモード | |
G64 | 切削モード | |
G65, G66, G67 | マクロ呼び出し | G65 = 00 G66, G67 = 14 |
G68, G69 | 座標回転 | 16 |
G90, G91 | アブソリュート指令、インクレメンタル指令 | 03 |
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