最低限必要なコード
NCプログラムには様々な機能が用意されていますが、そのすべてを覚える必要はありませんし、すべてを使う必要もありません。常に使うコードというのはある程度決まっています。
ここでは初学者が最低限覚えなければならないコードを厳選して紹介します。
コード | 機能 |
---|---|
G00,G01,G02,G03 | 軸の移動 |
G17,G18,G19 | 平面設定 |
G54〜59 | ワーク座標系選択 |
G90 | アブソリュート指令 |
M03,M04 | 主軸回転 |
M05 | 主軸停止 |
M08 | クーラントON |
M09 | クーラントOFF |
M02,M30 | プログラム終了 |
加工前の設定
平面設定 G17,G18,G19
使用できる平面には、G17(XY平面)、G18(ZX平面)、G19(YZ平面)の3種類があり、これらは単独で設定できます。一度設定してしまえば変更されるまで継続しますので、プログラムの最初のほうで設定しましょう。
平面設定は円弧補間、工具径補正、工具長補正、座標回転、Gコード固定サイクルなどに影響します。平面を見る方向は、平面に垂直な軸(XY平面ならZ軸)のプラス側から見た方向が基準になります。
ワーク座標系の選択 G54〜G59
G54〜G59で単独で設定できます。これらは設備側の同じワーク座標系の番号に入力されている機械座標を原点(X0,Y0,Z0)としてプログラムを動かします。
これも、一度設定してしまえば変更されるまで継続しますので、プログラムの最初のほうで設定しましょう。
アブソリュート指令 G90
G90で単独で設定できます。アブソリュート指令は設定したワーク座標系を原点(X0,Y0,Z0)としてプログラムを動かします。ワーク座標系を設定した直後はアブソリュート指令で移動させないと正しく動かないことがあります。
アブソリュート指令のほかにインクレメンタル指令(G91)がありますが、これは現在の工具位置からの移動量を記述する指令方法です。ワーク座標系を設定しない場合にはインクレメンタル指令のほうが便利ですが、アブソリュート指令と混在させると、わかりにくくミスの発生しやすいプログラムとなってしまいます。
主軸の回転 M03、M04
主軸の回転はM03(正転)またはM04(逆転)で指令します。回転速度は2000回転であればS2000と指令します。M03 S2000 ; などのように同じブロックで指令できます。
クーラントON M08
M08で単独で指令できます。
加工
軸の移動 G00、G01、G02、G03
G00は早送り、G01は直線の加工、G02、G03は円弧の加工となります。これらは一度設定されると変更されるまで継続します。それぞれGコードの後に指定されている座標値まで移動します。
各Gコードの指定方法やその軌道などは「Gコード」のページを参考にして下さい。
加工終了
主軸停止 M05
M05で単独で指令できます。
クーラントOFF M09
M09で単独で指令できます。
機械原点復帰
機械原点へ移動させる方法はいくつかありますが、一番簡単な方法は G91 G28 Z0 です。これはZ軸のみを移動させる方法ですが、 G91 G28 Y0 とすればY軸のみが移動します。
プログラム終了 M02、M30
M02、またはM30でプログラムを終了させます。M02とM30はほぼ同じですが、設備によって若干異なるようです。
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- 主軸回転数と切削条件の求め方
- ワークのセッティングと測定機器
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- 当サイトのPDF版を作成しました。教育資料やリファレンスとして使用して頂ければと思います。
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→ NCプログラム上級編