NCプログラムとは
NCプログラムの「NC」とは数値制御(Numerical Control)の略称で、数値情報で指令することで工作機械などを制御する方式です。
このNCとコンピュータを組み合わせたものはコンピュータ数値制御(CNC)と呼ばれます。ただし、近年ではCNCではないNC工作機械というのは少ないので、単に「NC」「NC工作機械」という場合には、「CNC」あるいは「CNC工作機械」のことを指します。また、本サイトでもそのように扱います。
NCプログラムとは、NC工作機械を動作させる(制御する)ためのプログラムということになります。
制御装置
NCプログラムを使用するためには、それを読み込むためのシステムが必要になります。このシステムは「数値制御装置」あるいは、単に「制御装置」と呼ばれ、これがついていない工作機械ではNCプログラムを使うことができません。
制御装置は、工作機械に限定すると日本に本社があるファナックが世界トップのシェアを持っています。この他にも代表的なものとして、OSP(オークマ)、メルダス(三菱電機)、ヤスナック(安川電機)、マザトロール(ヤマザキマザック)、トスナック(東芝機械)などがあります。
このサイトではファナックのプログラム形式で解説していますが、プログラミングの考え方は他の制御装置でも同じですので、ここで得られた知識は無駄にはなりません。
NCを使用するメリット
NCを使用するメリットはたくさんありますが、主に以下のものが挙げられます。
- 生産性の向上
- 品質の安定
- 複雑な加工ができる
- 安全性の向上
詳しくは「NCプログラムとは。そのメリットとデメリット」のページで取り上げています。
座標
NCプログラムを作るうえで重要になるのが「座標」という概念です。
学校の数学あるいは算数の授業で「すべての実数はひとつの直線上の点で表せる」というのを習ったと思います。これは数直線と呼ばれますが、軸がひとつの座標系として捉えることもできます。
フライス盤やマシニングセンタなどのNC工作機械では、基本的にX軸、Y軸、Z軸の3軸の座標系が用いられます。
NCプログラムでは「どの位置に工具を動かすのか」ということを、この座標を使った数値によって指令します。
座標については「座標とはなにか【初めてのNCプログラミング】」のページで取り上げています。
機械座標とワーク座標
機械座標とは、設備自体が持っている固有の座標で、変更することはできません。この機械座標を使ってプログラムを作ると、様々な問題が出てきてしまいます。そこで出てくるのがワーク座標です。
ワーク座標は、機械座標のどこかを原点(X0, Y0, Z0)として使用できる座標系です。ワーク座標の原点は「加工原点」とも呼ばれます。このワーク座標を使用することで、製品のセット位置が変わったり、使用する設備が変わっても、同じプログラムで加工を行うことができます。
機械座標とワーク座標については「機械座標とワーク座標【初めてのNCプログラミング】」のページで取り上げています。
プログラムの構成
アドレスとワード
NCプログラムの多くは「アルファベット + 数値」の形になっており、アルファベットはアドレスと呼ばれ、アドレスと数値を合わせてワードと呼びます。
主なアドレスは以下の通りです。
- O:プログラム番号
- N:シーケンス番号
- G:準備機能
- M:補助機能
- S:主軸機能
- F:送り速度
- X, Y, Z:座標
EOB(エンド・オブ・ブロック)
NCプログラムでは、行の最後に必ず";"(セミコロン)がつきます。このセミコロンはエンド・オブ・ブロック(EOB)と呼ばれ、行の終了を意味し、行の先頭からこのEOBまでをブロックと呼びます。
詳しくは「NCプログラム構成」のページで取り上げています。
基本は軸移動
NCプログラムには様々な機能がありますが、工作機械の基本は各軸を動かして物を加工することです。
軸移動のGコードは主に3種類で、G00 の早送り(位置決め)、G01 の直線補間、G02 と G03 の円弧補間です。
詳しくは「NCプログラムの基本は軸移動【初めてのNCプログラミング】」で取り上げています。
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→ NCプログラム上級編